14.2005年6月8日 国土交通常任委員会「国土総合開発法等の改正案について」

(衆議院第18委員室 14時〜14時45分)

●望月義夫委員長代理 松崎哲久君。

●松崎哲久委員 民主党の松崎哲久でございます。
国土総合開発法等の一部を改正する法律案でございますが、その第一条に、国土総合開発法の題名を国土形成計画法に改める、こういうのが第一条にあるわけでございますが、私は、この国土形成という用語、非常に違和感を感じます。
国土総合開発法、この改正法の改正後になった第二条に、「「国土形成計画」とは、国土の利用、整備及び保全(以下「国土の形成」という。)」とありますので、法律上は、利用、整備及び保全ということがすなわち形成という意味に論理的にはなるわけですけれども、利用、整備及び保全は形成かというと、少なくとも一般に理解されている形成という言葉の意味とは全く違うわけでございます。
まず最初の質問は大臣に伺いたい。大臣は、この用語、国土形成あるいは国土形成計画という用語に違和感がおありにならなかったのかどうか、疑問を感じられなかったのかどうか、このことを伺いたいと思います。

 

●北側一雄国務大臣(国土交通大臣) この国土の形成という言葉、法律用語でございます。中央省庁等改革基本法にも用いられておりまして、そこでもその意味というのは、今委員がおっしゃった国土の利用、整備、保全という意味として使われておりまして、その例をこの法律においても適用したということでございます。

●松崎委員 以前の法律の中に使われているということはもちろん私も承知しているんですが、むしろ、私の質問の趣旨は、一般的な意味として、国土の形成という言葉がこれこれを意味するということに疑問を感じられなかったかという質問でございます。
私は、国土交通省の方に事前に、大分前ですが、何週間か前に、どうもこの形成というのはよくわからないんだけれどもと言いましたら、広辞苑にこう書いてありますとかいろいろ説明を受けまして、それでは納得はしておりませんけれども、そのときの説明には、日々の営みによって国土をよりよいものにしていくソフト、ハード両面にわたる人間の国土に及ぼす作用であるというふうに説明されたんです。その国土形成計画法の精神というか趣旨に含まれているのはこういうことであろうというのはもちろん想像はできる、法案の中身を見れば。想像はいたしますけれども、やはりそれは形成という言葉の字義、言葉の意味とはかけ離れているんです。
大臣が御理解になる国土の形成とは、具体的にどういうことを意味されているというふうにお思いでしょうか。先ほどの事務当局の私への説明と同じような御理解でございましょうか。

●北側国務大臣 従来は全国総合開発計画、開発という言葉が使われておりまして、現実に開発というものが中心の計画であったというふうに思います。
そういう意味では、どんどん量的に拡大をしていく、こういうイメージがあるわけでございますが、これからはもうそうじゃないだろう。開発をしなければならないことももちろんありますが、それが中心ではないだろう。
むしろ既存のストックをいかに有効に活用するかだとか、または環境の保全とか景観だとか、そういうものがますます重視される社会になっていくわけでございますし、また、これからの高齢社会、また人口減少社会、さらには今、ある意味では日本の経済というのは一定のレベルに達しているわけでございまして、やはり国民の皆様は、物質的な豊かさ、もちろんそれも大事ではございますけれども、心の充足感だとか豊かさ、そういうものを求めていく、そういう時代だろう。ただ、一方で、価値観も非常に多様化している中で、国民の皆様お一人お一人のニーズというのも非常に多様。
そういう中にありまして、開発という量的拡大ではなくて、むしろ質をいかによくしていくかというふうな観点で、開発ではなくて形成という言葉を使ったというふうに私は理解をしております。
ただ、委員からもっとこういう言葉がいいんじゃないのというお話があれば、ぜひ今後検討させていただければと思っております。

●松崎委員 最初のうち、どうも質疑、答弁、かみ合っていないのかなと思っていたんですが、最後に大臣がいい提案があれば検討させていただきたいとおっしゃいましたが、これは修正していただけるのかなと思って、大変期待を持ちながら質疑を続けてまいりたいと思います。
実は、昭和63年の多極分散型国土形成促進法というのがございます。このように、何々型国土をつくる、何々型国土を形成するということならば、この形成の意味というのが正しい、はっきり字義どおりなんですね。平成10年の、これも皆さんよく御承知だと思いますが、21世紀の国土のグランドデザインの中にうたわれた多軸型国土構造の形成という言葉があります。このように、何々構造を形成するというのは、これは国語として誤りじゃないというふうに思うわけです。ただ、本当に国土形成ということが国語として成り立つのかということを、これは前振りですから、前振りだと思って受けとめていただいたら結構なんですが。
昨年、本委員会の視察で沖ノ鳥島に行かせていただきました。あの絶海の孤島が、中国から島ではなくてあれは岩なんだといういわれなき非難を受けないように、何らかの方法でより大きな面積を持つものにしていく。それならまさに国土の形成という言葉が私は当てはまるんだと思うんですが、普遍的な、通常の例で国土を形成するというのは、イザナギ、イザナミの時代ならともかく、国生み神話ではないんですから、日本語上無理ではないかなという私の疑問を、今度は局長に伺わせていただきたいと思うんですが。

●尾見博武政府参考人(国土交通省国土計画局長) それでは、お答えを申し上げます。
この用語をどういうふうにするかというのは、先生が今御指摘ありましたように、私どももかなり長いこと内部で議論をさせていただきました。ここでは一々申し上げませんが、いろいろな言葉が浮かんでは消え、浮かんでは消えということであったのは事実でございます。
ただ、議論の経過を、ちょっと長くなりますけれども御紹介させていただきますと、開発を基調とした量的拡大を志向する計画、こいつをまず否定していこうということで、ここから転換をしていく、こういうふうに発想しました。その次になるのは、国土の利用と保全ということが柱になる。それは、国土の質的な向上であり、景観、環境ということが大事だ、こういうことに相なるだろう。
そうすると、国土総合開発法上ございます国土の利用、開発、保全というもののうち開発というものを、この用語を別のものに置きかえないといけない。それで出てきた言葉が、やはり整備であります。これまである程度のストックが形成されてきたという中で、そのストックを上手に生かしながら、あるいは改善をしながらやっていくということが大きなウエートを占めると思いますので、そういう点からいうと整備という言葉がなじむんじゃないか、こういうことで入れさせていただきました。
この三つの言葉をできるだけトータルにバランスよく表現する言葉は何かということでいろいろ吟味しておりましたところ、先ほどの中央省庁の改革基本法にある言葉などが浮かんでまいりまして、では、それを形成というふうに定義をしたらどうかと。これはちょっとごろ合わせではございませんが、私どもは、新しい国の形、それをつくっていこうということでありますが、国土の形成を音読みじゃなく訓で読んでいただきますと国の形というふうな面にもなり得るんじゃないか、私自身は、そういう気持ちでこれを受けとめたらどうかというふうに思ったことがございます。
トータルに利用、整備、保全という国土に対する作用の総体を意味するものとして、ハード、ソフト、それが非常に大事になっています。それが有機的に関連づけられて総合的に国土に働きかけていくということで、国の形をなすという趣旨で国土の形成という言葉はあり得るんではないか、こういうふうに考えてきたというのが経過でございます。

●松崎委員 るる御説明いただきましたが、皆さんのお考えの中でそういう概念があって、その概念を、だから、国土の開発ということをどうやって改めていくかということを一つの言葉であらわしたいというお気持ちは、それはもう酌み取れているんですが、そのときに形成という言葉がふさわしいかどうかということを申し上げたのです。
実は、事前の説明をいただいたときに、今の政府参考人がおっしゃった国の形という言葉、司馬遼太郎先生の有名な作品のタイトルでもあるわけですが、題名でもあるわけですが、「国のかたち」ということを意識しているんですよということを言われました。しかし、あの司馬さんの「国のかたち」というのは国のありようという意味の国の形であって、国土という意味の形というのではやはり違うと思います。これは禅問答を繰り返してもしようがないと思いますので、ただ、形成というのはやはり余り適当ではないんではないか、法律の題名として適当ではないんではないかなというふうに思っているということをまず御理解いただきたい。
先ほどせっかく大臣から、いい案があるのか、こういうふうにお問いがありましたので、私は、この内容、国土交通省さんの御提案の中身をいろいろ拝見していって、私の理解するその国土形成ということの意味というのは、結局、総合的な国土、さらには交通体系をどういうふうに形成していくかということなんだと思います。
それは、利用も整備も保全も含まれた意味で総合的なということ。開発に総合開発がついているから総合を嫌ったということはわかるんですが、これからの、次の時代に向かって国土交通省が目指していくのは、むしろ総合的な国土交通体系の形成であるというふうに私は理解してこの法案をとらえているんですが、検討していただけるとさっきおっしゃったので、もし、そういう総合的国土交通体系形成計画法というふうに変えていただければ大変うれしいとは思っておりますが。
法案の題名というのが実は修正できるのかという議論があるわけですが、これには、衆議院の先例集によりますと、法案、議案の題名を修正して議決したケースが、衆議院先例集には、平成15年版先例集には四つ出ております。その一つが、昭和48年の第71国会に国土総合開発法改正案とほぼ同時に提出された国土総合開発庁設置法案ですね。ですから、まさに今回のこの改正案と密接な関係があるのが、前回題名が変わったこの国土総合開発庁設置法案なんですが、この結果がどういうふうになったか、政府参考人の方から御説明いただきたいと思います。

〔望月委員長代理退席、橘康太郎委員長着席〕

●尾見政府参考人 それでは、お答えをいたします。
少々長くなりますが……(松崎委員「いやいや、これはまだ前振りなんです」と呼ぶ)わかりました。今お話がございましたように、昭和47年に提出されました国土総合開発法案、それに関連しまして国土総合開発庁設置法案がございました。これが国土庁の設置法案というふうに名称を変えたというのは、議員修正でそういうふうにされたということは承知しております。(松崎委員「そこまでで」と呼ぶ)はい。

●松崎委員 その議員修正、これは内閣委員会に実はかかったわけですが、昭和49年5月24日の内閣委員会の議事録によりますと、今参考人がおっしゃった議員提案の修正ですが、この修正案を提出したのは、今私ども民主党の同僚議員である小宮山泰子代議士の父上の小宮山重四郎先生だったんですね。
それに対して反対討論をされたのが鈴切康雄先生。鈴切委員は、「公明党を代表して、国土総合開発庁設置法案及び修正案に対して反対」というふうに発言されて、その中身は、「昭和25年の国土総合開発法及び新全総その他問題のある部分の法律が受け継がれているため、本来の土地利用計画法の土地の規制立法による地価安定という純粋な問題解決のためのものだけでなく、それを拡大運用するおそれも、この内容の中には多分に残されていると考えるものであります。かねてから政府・自民党による高度経済成長政策のひずみから起こる過密化現象が、社会資本の不足と相まって都市行政のおくれとなり、地価を高騰させている一方、農漁村地帯の過疎化現象となり、その荒廃を招いているのであります。」と述べられています。
この認識、その時点からの過去の評価においておおむね正しく、さらにその後の国土開発行政の問題点をも見事に予測していると私は思います。また、私たち民主党の現在から見た国土総合開発政策に対する認識とも非常に近いものがあると思いますが、大臣はどのようにお考えになるでしょうか。
ちなみに、このときに成立した国土利用計画法、一緒に国土総合開発法の改正案が、その経緯は参考人がさっきお述べになられようとしたところなんですが、国土利用計画法という形に変えて、次の国会で、49年の72国会で成立したんですが、その審議に建設委員として参加された北側義一先生の御子息ですね、大臣は。いわゆる二世議員なんですね。先代の北側代議士は公明党の国土整備委員長であられましたし、本委員会の前身である衆議院建設常任委員長あるいは国土審議会委員も務められた公明党内の国土行政問題のエキスパートであったというふうに承っておりますが、当時の公明党の認識を、連立与党に加わって国土交通大臣になられた北側大臣はどのようにお考えになるでしょうか。ぜひ承らせていただきたいと思います。

●北側国務大臣 よくお調べになられましたね。その調査に対して心から敬意を申し上げたいと思います。
ただ、私、二世議員というのはちょっとひっかかっておりまして、選挙区も違えば、うちの父親がやめてからもう大分たってから国会に来させていただいておりますので、地盤、看板も何もなく、たまたま議員になったら父親がもう議員だったというのが実態でございます。
それはそれといたしまして、この国土総合開発、全国総合開発計画をどう総括するかというところだと思うんですけれども、これはやはり両方あるんだろうと思うんです。プラスの面とマイナスの面と両方あったんだろう、そういうふうに総括をしなければならないんだろうと思うんです。
確かに、今も大都市圏への人口集中の流れがあるんですが、ただ、委員もよく御承知のとおり、工場等立地制限法ですか、今廃止をしました。廃止をしましたが、ああした法律によって、大都市に、工場だとかそれから大学等の教育機関も含めまして、地方分散ができるようにしようというふうな、こうした規制をやったわけですね。エリアを限定しまして、そこに入れない。そういうことがあって、私は、相当、地方にかなり日本の有力な企業の工場等が分散し、その地域の活性化につながっていったことも事実であるというふうに思っております。
ただ、現在でも大都市圏への人口及び諸機能の集中が、特に首都圏ですけれども、依然として継続している状況等にかんがみると、国土利用の偏在の是正という当初の目的は必ずしも達成されていない、達成されたとは言えない面もあるというふうにも思います。
また、逆の意味で、地方振興のためのさまざまな施策が、ばらまきだとかフルセット主義という批判も招来した事象もあったということで、プラスの面、マイナスの面、双方あるのかなと。
そうしたことをすべて反省しまして、今日、人口減少時代にいよいよ突入しようとしている、本格的な高齢社会に突入しようとしている、そういう大きな転換点だと私は思うわけでございますが、そういう中で、これまでの量的拡大、開発というふうな計画から、むしろ質的な向上を図っていく、利用と保全を重視する、そうした計画に転換を図っていくということで本法案の提出をさせていただいているところでございます。

●松崎委員 大臣は御記憶だと思いますが、4月27日に本委員会の住宅関連二法の審議の際に私は、バブルを起こしたこと自体が政府と自民党の責任であったという発言をしました。そして、民間の金利の方が安くなった平成7年に何らかの措置を政府・自民党がとるべきであったのに何もしないで、今になって国民にツケを回すというふうに申し上げたんですが、そのことに対して大臣は、「バブルをつくったのはだれで、崩壊させたのはだれに責任があったかという問題と、この問題とは余りにも次元が違う」、こうおっしゃいまして、過去の自民党の失政、先ほどのは失政だと思うんですが、失政について不問に付す答弁をされたように記憶いたしております。
そのことを大変残念に思ったんですが、かつては野党であられた公明党出身の大臣として、また、先ほど私が御紹介しましたような、また御尊父も昭和49年当時の公明党の重要な政策決定の、公明党の政策を決定する立場におられた、その公明党の国土政策に対する認識というものを踏まえて今連立与党を組まれている大臣だと思いますので、4月27日の際の御答弁にはやや、ややというか、大変残念に思ったわけでございますが、今回の御答弁は、プラスとマイナスと両方あるということで、特にこの場ではマイナス面について触れていただいたということですので、だからこそ改正をしなきゃいけないんだということにもちろん結びついているわけですけれども、そういう御認識であるというふうに伺えて、今回は大変よかったというように思っております。
行政というのは、俗に言う、雨が降ってもやりが降っても日夜継続しなければならない、これは当然のことなわけですが、だからこそ、基本政策の転換というのは、本来、政権交代によってしか実現されないものなんですね。もちろん、転換すべき政策もあり、政権がかわっても維持継続するべき政策もあるわけですから、どの政策を転換し、いずれの政策は継続させるべきかというのを政権準備政党である我々はこの政権準備の期間に決めておくというのが課題になっているわけです。
そこで、政権交代が実現した後も政権を担っていただく、私たちの民主党の政権を担っていただくことになる官の方々に伺いたいと思います。
全総計画、それから新全総、三全総、四全総と続いて、平成10年の21世紀のグランドデザインも含めて事実上五つの全総計画、全総とは最後は言いませんけれども、事実上五つの全総計画があった。それらの総合評価と、今新しい枠組みをつくって目指していくものはどういう方向性なのかということを、もちろん、開発をやめてというか、開発の部分から、より利用、整備、保全に重点を置くということはわかりますが、グランドデザインというようなイメージは、どういうような国土政策をやっていこうとされているのかということを、端的に、短く言っていただきたい。次に質問があって続きますので、政府参考人から承りたいと思います。

●尾見政府参考人 まず、これまでの全総計画の評価でありますけれども、今、大臣の方からもお話がありました。当然、光と影というか、プラスとマイナスがあったというふうに思っております。
具体的に成果ということでいくと、やはり地方、何といっても、地方に工場とか教育機関、そういうものを分散させるというようなことで、そういうことを通じて、例えば地方の中枢都市とか中心都市が成長してきたというようなことも言えると思いますし、やはり大きな意味での目標でございました所得格差、そういうことが是正されてきたというようなこととか、生活環境が全国で非常に豊かになってきた、地方圏においても豊かになってきた、こういう点が今までの成果として強調できることだと思います。
ただ、それに伴って、これからの時代は、今までのところを総括すると、人口が伸びるというのは需要が生まれる、そういう中で開発志向で物事を進めるというのは、五つの計画を総括しますと、共通に流れる思想だったというふうに私どもは考えております。だから、そこのところを、今先生が言われたように、転換していくということが中心の命題になります。利用、保全といった質的向上を重視するんだと。
それで、目指すのは、国民の価値が、豊かさ、利便性、そういうことがあります。それも豊かさも、物から心へというようなことだと思いますし、利便性が消えることはないかもしれませんが、安全だとか安心だとか安定といった、そういうものを志向するという考えが非常に強くなってきております。そういうものを具体的な国民生活の姿として提示していく。
内容はこれから大いに議論してつくっていきたいと思いますが、そういう問題意識で取り組んでいきたいと思っております。

●松崎委員 今の最後のお言葉で、内容についてはこれから議論、こうおっしゃられたわけなんですが、本来は、まず、そういう大きな目標といいますか、こういうふうにしていくために何をするんだということがあって、また、その仕組みの、今回の法改正というのはこの仕組みを変える、手続、仕組みを変えていくわけですから、があってしかるべきだ、こういうふうに思うんです。
実は、21世紀のグランドデザインは、平成10年に策定されて、そして2010年から15年を目標としている、こういう到達目標ですね、しているということなわけですが、まず、その基本認識として、人口の減少ということがある。国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口によれば、2006年、来年、1億2774万人で日本の総人口は頂点に達して、再来年、2007年から減少が始まる、こう予測されているわけですが、この人口減少という、これは大きな、もちろん年金だとかそういう問題では既に御指摘されていますけれども、国土政策にあらわれる人口減少ということが、どういうふうにとらえていらっしゃるのか。
先ほど、豊かさ、価値観が多様化している、豊かさだとか利便だということを主に考えているという、このお言葉は伺いましたが、それはどういう具体的政策に、これはもちろん、決めるのはこれからだということですから決まるのはこれからでも結構なんですが、豊かさだとか利便だとかと言うのは簡単なわけですが、例えば、それは国土政策で言うとこういうことにあらわれる、例えばでいいわけですよね、というようなことを今イメージとしてどういうふうにお持ちなのか。
さらに、新しい21世紀のグランドデザインというのが、生きているのか、それから変わるのか、変更すればどういう時点なのか、それから、いつから、本法が改正になったとしてですよ、改正になったとして、いつからどういうふうに手続が進められていくかということ、ちょっと具体論を教えていただきたいと思うんです。

●尾見政府参考人 一番骨太のところで物を考えますと、やはり人口減少社会というものが、私ども国土政策の分野にどういう問題を提起するかということに尽きるんじゃないかと思います。
人口減少社会は、例えば、今後25年ぐらいの中で人口そのものの減少の仕方は600万人強ということで、それほどではございませんけれども、やはり労働力人口とか生産年齢人口の形で大きく影響してきます。生産性の顕著な向上ということがなければ、日本の経済力、活力、国際競争力、そういうものが大きく失われていくということがあるんだろうというふうに思っています。
そうしますと、ただでさえ十分に生きていけなくなるというか、非常に危険な状況になっている。例えば地方の問題はどうなるんだろうかとか、あるいは国土保全の問題はどうなるんだろうか、あるいは都市の中でも、大都市でもやはり高齢化というのはどんどん進んでくるということになって、人口減少社会が隅々にまで行き渡ると、そういうところでいろいろな課題が出てくる。その際に、今までの仕組みなり制度なり、そういうものをそのままにしておいてこれに対応できるのかどうか、そういう問題意識を持ちました。
それから、そういう社会になっても、やはり先人の方々がここまでやってきた成果を何とか上手に生かして、国民の皆さんに安んじて生活をしてもらう、そういうことにするためにはどうしたらいいかということで、また課題を抽出して、それへの対処の方法を考えていくということじゃないかと思います。
なかんずく強調したいことは、やはり日本のプレゼンスも含めて、日本の国際競争力だとか経済力、そういうものを失っていくようなことがあれば、どの分野の課題も十分にこれに対応できなくなるんじゃないか。そういうことで、全体を考えていきたいと思っております。

●松崎委員 先ほどの質問で私が最後に申しました、21世紀グランドデザインとの関係、それから、どういう時期にどういう検討というのが始まっていく、どういう機関をつくってということも含めて、あるいは国土審議会のまま、もちろんそれでもいいんですけれども。

●尾見政府参考人 失礼いたしました。では、あとの二点についてお話を申し上げたいと思います。
グランドデザインとの関係でございますけれども、グランドデザインも確かに人口減少というものを大きな柱としてとらえております。ただ、その計画を作成しました平成10年は、足元の人口は依然として増加しているわけでありまして、まだそれほど、ある意味では深刻な問題意識はなかった。
それから、先ほど国際競争力のお話を申し上げましたが、グランドデザインでも、世界に開かれたというようなことで、国際競争力の問題を大きく位置づけておりますが、例えば中国を初めとした東アジアの今日の驚異的な発展、そういうことについては必ずしも十分にとらえ切れていなかったという点があると思っております。
そういう点については、その問題提起を拡充していくということでやはり対応すべきだと思いますが、新しい国土形成計画法をつくっていただくわけですから、前からの計画の連続性ということで物を考えるのではなくて、基本的には、ゼロベースといいますか、新しい発想に立ってまず計画を構成してみる、その上で従前の計画との整合というものをどう図っていくかということを考える。そういう頭の順序で、頭の整理でやっていきたいと思っています。
それで、法案を首尾よく通していただいた暁には、1、2年かけて全国計画を決め、さらに1年ぐらいかけて広域地方計画を決める、こういう算段で今のところ考えているところでございます。

●松崎委員 国土と交通に関する総合的な政策体系というのを考えるときに、将来の私たち、日本の国民、市民が、どういうライフスタイルで、あるいはどういう意識や価値観を持って仕事をし、生活をし、子育てをし、教育をし、余暇を楽しむかということについて、やはり想像力を持っていかなければいけないというふうに思うんですね、政策を考える際に。
それは、政策が個々人の生き方を規定したり押しつけるというようなことではなくて、国民がどういう一生を送ろうとしているのか、いかなる暮らしぶりを好むのかということについて的確に想像して、その実現のために政策をつくっていく、こういう必要があると思うんですね。
今、参考人が、平成10年にグランドデザインをつくったときはまだ人口減少問題が切実でなかったとおっしゃったけれども、実際には、もう十分に予測可能な範囲で起こっているわけですし、さらには、これが2010年から15年までを想定しているグランドデザインなわけですから、やはりそういう想像力というもの、まさにこれからつくっていく計画についてはぜひ持っていただかなければ仕方がない、話にならないというふうに思うんです。
例えば、これは過去のことを言いますけれども、駅に近い公団住宅に入居するということが庶民の夢であった時代があったわけです、過去には。それから、郊外の一戸建て住宅で家族団らんを楽しみたい、家族団らんを望む、そういう家庭のために国や民間の開発業者がニュータウンをつくった時代もあったわけですよ。ところが、都心回帰の現象が起こると、今やニュータウンというのは、ニュータウン育ちの子供たちがニュータウンには住み続けないで別のところに住む、こういうような切実な問題が起きているわけですね。
そうすると、長期にわたる国土行政というのは、その辺のところを十分に考えて、この読みが外れてしまうと、当初は成功したと思われる政策でも、その政策が完了するころにはもう失敗しているということもあり得るわけですから、今後の課題として、やはり長いスパンで考えていただいて、的確に計画を立案していただきたい、こう思います。
今、東京には超高層マンションが林立しているわけですね。バブルの時代に地上げされた六本木ヒルズや湾岸のベイエリア、あるいはお台場というようなところに代表される職と住近接型のマンションというのは、実は一部の勝ち組のものになっていないか、こういう問題意識を私持っております。
先ほど参考人は、これまでの全総計画は所得格差をなくしてくることに効果があったと、光の部分としてはね。それは確かにそうかもしれないけれども、今まさにその所得格差が生まれようとしているという問題意識が世の中にあるわけですから、そうすると、それは国土政策あるいは住宅政策にはどういうふうに反映させるのかというようなことも当然考えていただきたいわけですね。
今、都心に残る一戸建ての住宅の中には、既に仕事から引退されたお年寄りのひとり住まい、こういうケースもあるわけですよ。そうすると、先ほど言われた国際競争力、21世紀の日本が高い国際的競争力を備えるためには、そういう引退された世代が、都心の便利なところ、何のために便利かというと、それは生活に便利かもしれないけれども、何よりも働くために便利なんですね。超高層マンションに入居者が多いというのは、そこが職住近接で働くことに便利だからなんですね。その便利なところを高い所得層だけが利用できるような今の民間主導のディベロッパーの超高層マンションでいいのか。
住宅公団、それが機構に変わりましたけれども、住宅公団は新たに住宅をつくらないわけですが、例外を除いて。そうじゃなくて、まさに都市の超高層マンションのようなところを、期間限定にして、職住近接で本当に働きたい人たちに低廉な価格で提供するということは、まさにこれが国際競争力を高めていくということにもなると私は思うんですよ。こういうようなやり方だってできる。工場や教育機関を地方に分散していった、こういう政策があったわけです。同じように、生産性が低いと言ったらなんなんですけれども、余り生産をされない、あるいは大きな消費に結びつかないというような方々には、都心に住んでいただくよりも環境のいいところに住んでいただく、そういう政策をつくるということもできると思うんですね、同じような仕組みで。ですから、そういうこともぜひ考えていただきたい、こういうふうに考えます。
それに関連してですが、最近国土交通省から届けられた資料に興味深いデータがありました。世帯主年齢別超高層マンションへの永住意向という意向調査があったわけですが、それによると、特に若い世代、超高層マンションに住む人は三十代、四十代が圧倒的に多いんですね、居住している方は。ところが、この方たちの永住意向が非常に低いというおもしろいデータがあるんです。これは、私がいただいた資料によると、出典が明らかでないんですけれども、追加でいただいた資料には書いてあったので、時間がもうなくなりましたのでそのことはいいんですが、若干この調査について御説明を簡略に、ごく簡略にしていただければと思います。

●尾見政府参考人 今先生がおっしゃった調査は、世帯主年齢別超高層マンションへの永住意向に関する調査結果ということだというふうに思います。その中では、永住意向を持っているのは、29歳以下で28.2%、30歳から39歳で34.0%と、ほかの世代、全世帯平均の46.4%に比べて低くなっている、こういう結果が出ております。

●松崎委員 簡略でありがとうございました。
その超高層マンション、20階建て以上のマンションを超高層マンションというんだそうですが、既成市街地での超高層マンションの供給戸数が、これは国土交通省にいただいた資料ですが、15年前の平成2年には338戸、10年前の平成7年にはゼロ、その後急増しているんですね。5年前の平成12年には4803戸、2年前ですが、15年には9369戸。恐らく今は1万戸を超えていると思われますが。しかも、この15年で住宅供給戸数全体の13.2%という、超高層マンションというものが持っている住宅供給能力といいますか、非常に大きいわけです。
私、先ほど、超高層マンションに関する考え方、これが実は、超高層マンションには超高所得者でないと入れないという、こういう実態。これはデータをいただこうと思ったんですが、ないということなので、これもぜひ調べていただいて、やはり一部の人たちの階層に、大都市、東京圏の利便性というのは限られている。これはやはり国としては考えるべき問題じゃないかというふうに考えているんです。
四全総のころ、東京問題という言葉がございました。東京をどうするかということが政策課題の中心になっていたのが四全総だったわけですが、その後、地価の鎮静もありましたから、やや看過されてきた嫌いがあるのではないかというふうに思いますが、今まさに、また新しい東京問題が起こりつつあるというふうに考えます。
こういうような時代、先ほど、超高層マンションの居住者については三十代、四十代が一番多いんですね。それで、その居住者が実は永住を希望していない。永住を希望していないけれども、何億円で買った超高層マンションを、超高所得者であれば、簡単に売ってまた次のところということはあり得るとは思いますけれども、やはり今度は、買いかえをして住みかえをして、世代世代に合った、働く世代、現役で働く世代に住みやすいところ、働きやすいところ、それから、リタイアした、引退された方々が住みやすいところ、もちろん都市の利便というのも享受した方がいいだろうし、病院が近いとかいろいろなことはあると思うんですが、世代によって違うと思いますので、そういうことを十分に視野に入れた計画の御検討をこれからしていただきたい、こういうふうに考えております。
最後に、大臣にぜひ伺いたいと思うんですが、大臣は、日本の庶民、高所得者層じゃなくて、庶民がどういう意識で仕事をし、生活をし、子育てをしていて、そして余暇を楽しんでいる、楽しむことを望んでいるのか、こういうことについてどういうお考えをお持ちか。そして、そのために、国土交通体系、国土交通政策というのはどういうことができるのか。国土の形成というようなあいまいなお役所言葉ではなくて、生のお言葉で御説明をいただきたいと思います。最後の質問にさせていただきたいと思うので、よろしくお願いいたします。

●北側国務大臣 ちょっと御質問にきちんと答えられるかどうか自信がございませんけれども、本当に目前に迫りました人口減少時代、これは恐らく日本の有史では初めて経験することだと私は思います。この人口減少時代をどうとらえていくかということが極めて大事だと思います。
これは、さまざまな分野においてそうなんだろう。ましてや、国土交通省を中心といたしまして、国土形成という言葉を使ったら怒られるかもしれませんが、国土の形成にも大変大きな影響を与えていくんだろうと思います。これも人口減少時代、人口減少そのものはプラスとまたマイナスがきっとあるんだろうと思うんですが、逆にそのマイナス部分をできるだけ小さくしてプラスの部分をできるだけ大きくしていくことが非常に大事だと思っております。
そういう方向性を出せればいいなと思うんですが、私は今までの、過去の国土の計画というのを見てみますと、やはりどんどんどんどん都市化が進んできて都市に人口が集中をして、そして宅地化が進んできて、これは当時の産業構造等からはやむを得ない面があったと思うんですよ。あったと思うんですが、それが結果として、例えば、非常に急斜面のところに住宅を建てたり、また河川についてもいっぱいいっぱいのところまで住宅を建てたりだとか、そういう側面も相当あったと思うんです。
ところが、人口減少時代になることによって、また、特に今、これは高齢社会になったからかもしれませんが、安全だとか安心だとか、また景観だとか環境保全だとか、そういうことを非常に重視する時代になってきているわけでございまして、そういう意味では、国土の計画、またまちづくりにしても、人口減少時代というのはある意味ではゆとりを持った計画ができるわけでございまして、そういう意味では、そういうニーズに対してもこたえられていく時代になってきたのではないかとも私は思うわけでございまして、ぜひその辺のところをきちんと位置づけることができたらいいなというふうに思っているところでございます。
ちょっと質問に対する答えになっていないかもしれませんが、御勘弁いただきたいと思います。

●松崎委員 最後の御答弁で、減少時代だからこそできる国土の利用、整備、保全、そういうのが確かにあるということを、今お言葉を伺ったのは大変心強く思いました。
これで質問を終わります。ありがとうございました。

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