攻めの鳩山、逃げる麻生(第77回2009年6月5日)

5月27日の党首討論は45分という短い時間だった上に議論がかみ合わず、物足りなさの残るものでした。それでも両党首の人柄や政治姿勢は十分に視聴者に伝わったように思います。

朝日新聞は「全体の印象としては、鳩山氏の迫力が勝り、終始主導権を握っていた」(都築勉氏)とする大学教授の評を大きく載せています。一方、毎日新聞は社説で「国民目線か上から目線かといったキャッチフレーズは踊ったものの……散漫になったのは残念」と評しますが、討論がかみ合わなかったのは、麻生首相が鳩山代表の鋭い突っ込みに対し「論点のすりかえ」と言って本質の議論を避けたからでしょう。一例をいえば、民主党が企業献金の全廃を提唱するのも「論点のすりかえ」というわけで、結局、企業献金は是か非かという本質から逃げているのです。

鳩山代表の「古い政治よ、さよなら」「業界中心のタテ社会から、市民中心のヨコ社会を作り上げたい」といった印象に残りやすい表現は言語学の専門家から高く評価されましたが、マスコミ一般は「友愛社会」は抽象的という固定観念から抜け出せません。自民党政権が小泉・竹中路線で競争至上主義の、勝ち組優先の政策を強化した結果として今日の格差拡大があるのです。ギスギスした、冷酷な政治に対する具体的対案が「友愛社会」であることに、どうして気づこうとしないのでしょうか(私は「ぬくもりのある中流社会の再建」を提唱していますが、同じことです)。

朝日の天声人語は「言葉は大事にしなくちゃいかん」と言った麻生首相を、「この人が言うと妙に説得力がある」と皮肉っていましたが、一国の宰相の言葉の軽さに物悲しくもなりました。

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