だからこそ政権交代―官僚支配との戦い(第75回2009年4月10日)

小沢一郎代表の公設秘書が政治資金規正法違反で起訴された事件は、「政権交代」が現実化しつつある中、自民党や官僚機構の危機感が歪んだ形であらわれたものだと私には思えます。大久保秘書にかけられた嫌疑は、適法だった団体間の献金の出所が西松建設と知っていたのではないか、というものです。3月3日の逮捕当時は、この献金に贈収賄目的があったかのように報道されましたが、その容疑で起訴されたのではありません。

しかし、現時点で世論が「小沢続投」に厳しいのは、検察リークに基づく報道が先行し、詳細な事実が伝わらないだけでなく、巨額な資金が小沢代表のもとへ流れこんでいること自体に違和感があるからなのは否めません。確かに、私たちふつうの民主党議員・候補者に対する政治資金とは桁が二つも違います。集まる額も少なくて、使う額も少ないのが大多数の民主党政治家の実状でしょう。だからといって、私は小沢代表が不正に支出しているとも思いません。秘書の人数、事務所の数、日米・日中の草の根交流など活動の多彩さを考えれば、並の政治家以上に資金が必要なのは自然です。政治家の行動は情緒論、印象論とは別に、1)適法か違法か、2)違法ならその程度と、3)同じ違反は誰でも同じように摘発される、という三原則を守って究明されなければ「権力の横暴」を許すことになってしまいます。

自民党の現職大臣への献金は社員に無断で名前を使い、総務部幹部がまとめて振込んだそうですが、小沢代表の陸山会には、個々の社員が同意して二つの団体に会費を払い、団体会計から寄付されていたといいます。この事例を比べてどちらが悪質かは明白です。二階経産大臣の場合は逮捕も聴取もされていないのですから(その後、実弟を聴取と報道)、明らかに公正を欠きます。


◆ 誰が得したかを探すのが推理小説の鉄則 ◆

半年以内に政権交代が起きる。そのことを苦々しく思っている人たちが今、高笑いしているのを見過ごしてよいのでしょうか。官僚主導の政治を終わらせて困るのは――官僚です。政・官・業の長い癒着関係が消えて困るのは――自民党の政治家です。政治家とのコネを使って行政から有形無形の支援を受けようとする一部の虚業家です。天下り、渡り、口利(き)き、国民不在、等々、長期政権ゆえに続いてきた政治の弛緩(しかん)を根本から変革するのが政権交代です。その必要性を、つい最近まで皆さまもお分かりいただいていたはずですが……。

私は14年前にこの小選挙区で活動を始めたとき以来、「旧体質の政治とたたかう」を標語に掲げています。選挙のやり方も、「手みやげを持たない」「年賀状を出さない」「まして酒食は厳禁」など、社会慣習と異なっても選挙法の条文どおりに、違反をしないように努めてきました。二連ポスターへの貼り替えも、小さな違反も犯さないという決意で実施しているのです。

しかし、民主党は政権がとれませんでした。私も、政策や理念をいくら訴えても当選ラインに達しませんでした。巨大な権力と対峙(たいじ)するには、民主党も力を身につける必要があったのです。

2003年、民主党は自由党と合併し、その支持層も受け容れることで力強くなり、私も議席を得ました。2006年、偽メール事件の後に代表に就任した小沢一郎のもと、補欠選挙、地方選挙で勝ちを重ねて基盤を固め、そして2007年参院選挙で与野党逆転を実現したのです。

 

◆ 天が与えた試練を乗り切ってこそ ◆

政権交代は容易なことではありません。昨日の権力者が明日は野に下るのです。その恐怖から、少なくとも権力を握っているうちに、あらゆる手段を使って政権交代を阻止しようと考えるのは当然と受けとめるべきでしょう。それでも、やって良いことと悪いことがあります。日本の議会制民主主義が健全な形で機能するためには、投票という国民の総意で、平穏で、円滑に、政権交代がおこなわれなくてはなりません。権力を握る政党が、その権力を恣意的に使って反対党の党首を葬り去ることなどあってはならないし、その疑いすら持たれては、民主主義は機能しません。そして今回の事件は、残念ながら、その疑いを持たれてしまっているのです。

民主党の議員は、政策立案能力や国民の目線に立つ姿勢では自民党議員たちと比べてはるかに勝(まさ)っていると思いますが、地域に張りめぐらされた統治機構のネットワークに斬り込んでいく努力は不足していました。それでは、追い風の吹いている時には票が集まっても、ひとたび逆風に変わると、枕を並べて討ち死にしてしまいます。

民主党は小沢代表によって力を増し、政権交代まであと一歩のところに迫りました。しかし、現実に政権交代が起きる前に、もう一度、天が試練を与えているのが現状です。

小沢代表は3月24日の記者会見で、「目標は政権交代。その目標が実現しうる状況かどうか」で進退も考えると述べています。日本中の多くの民主党支持の方々が、「代表辞任によって政権交代を確実にするべき」とお考えだと思いますが、戦いは選挙の結果だけではありません。次の総選挙もさることながら、政権交代後に真の戦いが始まるのです。官僚支配との戦い、そして利権構造を断ち切る戦いこそ、「剛腕の小沢」に期待されていたことだったのではないでしょうか。

 

◆ 未来を切り拓く変革を実現するために ◆

小沢代表が、陸山会が励行してきたように政治資金を透明化しても担当者が起訴されてしまうなら、「企業献金を全廃するしかない」と述べたとき、政府・自民党の反応は異常といえるほどでした。理由は簡単です。企業献金の全廃で受ける打撃は、自民党の方がはるかに大きいからです。

自民党やマスコミは、小沢代表の全廃発言は実現しないのを見越してのことだと揶揄(やゆ)します。しかし、違います。その資金力は「政権交代に資するため」と説明しているのですから、政権交代の実現後には巨額の資金を必要としないのは道理です。民主党は従来の政治・経済・社会のあらゆる仕組みを、徹底的に見直します。自民党時代は不可能と思われた企業・団体献金の全廃も、挑んでみる課題だとは思われませんか。

衆・参両院で多数を握った政権なら、どんな変革でも可能です。日本の未来を切り拓(ひら)くのに必要な変革を実現するために、もう一度、皆さまのお気持ちを奮い起こして政権交代への期待を高めてはいただけないでしょうか。

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