原点は国民の生活――年頭所感(2012年1月1日)

 新しい年が明けました。昨年は東日本大震災、福島の原発事故、台風12号・15号など、予期せぬ災害で、大きな被害がもたらされた年であり、その悲惨な現実に直面して政治の責任と己れの無力さを痛感いたしました。

 ここで「予期せぬ」とはいっても、自然の災害に対して十全に備えておくのは当然です。「いつ起きるか」という時期は分からなくとも、「いつかは起きる」ことを前提に対策を組み立てておく必要があったのに、技術への過信なのか当事者の慢心なのか、「想定外」という言葉が乱発される事態になってしまいました。「想定外」とは、想定しなかった者たちの無能さと、そう言ってのける者たちの無責任さを自白しているようで、私は聞くに堪えない思いで聞いていました。まして歴史は、地震であれ津波であれ台風であれ、同規模の自然現象を数百年あるいは千年の単位で前例があることを記録していたのです。

 この不幸な災害を同時代で経験した私たちは、今、何を為すべきなのか。政治や行政が為すべきこと、科学者・技術者が為すべきこと、企業・団体が為すべきこと。為すべきものは多様ですが、共通していえるのは、旧来の常識や先入観念にとらわれず真に必要な課題を精査して、優先順位をつけて実現していくことだと思います。

 「政権交代。」の理念をつらぬく

 私たち政治家の為すべき第一は、与野党が衆・参ねじれ状況の中で膠着し、何も出来ない不毛な対立から一刻も早く脱却することです。その際には先例主義の呪縛から自由になる必要があるでしょう。それは至難ですが、成し遂げなければ日本丸は沈没を待つだけです。年末、マニフェストに掲げた政策の履行に関連して離党騒ぎに発展したのは、誠に残念です。民主党がみずから数を減らしては、政権の脆弱化を更に進めることにしかなりません。

 第二は、官僚との関係を抜本的に再構築する必要があります。鳩山内閣も菅内閣も既に検証の対象になっており、新聞やテレビは「失敗の原因」を指摘しはじめています。もちろん歴史的評価は時期尚早ですが、官僚を排除しすぎたと同時に、一部の省に対しては過度に依存したことが問題視されています。私は今、政策調査会副会長と国土交通部門会議座長の任にありますが、日々、政策を形成し決定していく過程で官僚との協同作業は欠かせないものになっています。拒否もせず依存しすぎることもなく、その実力を最大限に発揮して貰うことが真の政治主導に必要だからですが、この間合いの取り方に慣れない与党議員も多いのです。

 第三に、やはり「国民の生活が第一。」の原点に戻ることです。あの暑い夏の日に掲げた国民との契約を少しでも守ろうとの姿勢に回帰しなければ、民主党に明日はありません。マニフェストが総崩れしている現実は政権交代の意味を失わせてしまいます。

衆議院議員 松崎哲久

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